2023年12月12日火曜日

第 4 回・吉備国の層塔を行く、【岡山市北区(本山寺・成就寺】

   吉備高原の真っただ中に聳える三重塔は”古に誘ってくれる !! 

はれの国、岡山を高らかに謳う隣国岡山県。古代吉備国は備前、備中、備後、美作国の4か国であったのが、都(大和)の指図で3ヶ国に分割され、さらに713年には備前が美作と分割された。大和にとって巨大な古墳を作る素地(技術、資材、道具)が有ったのを恐れ分割させたと言われている。分割により吉備国はどの様な抵抗をしたかは知るすべを持たない。税として納めていた鉄が分割で備前国は賄えず他国から買い納めていた、がそれも成らず鉄を収められなくなった。300mを越える巨大古墳2基擁する国は恐怖で有っただろうから、分割はしてやったりであっただろう。それから以後、どうであったかは後記に譲りシリーズの層塔を紹介しよう。

 今回は岡山市北部の本山寺と成就寺です。現在は岡山市と発表するが、旧町は美咲町と建部町であった。共に古くから人々が住み旧岡山を支えていたが、平成の大合併の悪戯が歴史ある町名を消し、時には意味をなさない町名も出現してしまった。現地の立ち話で合併は良かったですかと問うと、良くなったとの返事は頂けなかった。

 本山寺(ほんざんじ)は山号を岩間山と言い真言宗である。本尊は観世音菩薩です。住所は美咲町定盛403で、創建は(大宝元年(701))佐伯頼観(さえきのらいかん)で、始め「新山寺」と読んでいた。後に法然上人が現在の地に移し「本山寺」としたと伝えられているが、大昔のことなので、真意のほどは私には分かりません。山門前に立てば古寺を肌は感じ、寺域に誘ってくれる。花期には枝垂れ桜が白壁を越え、大きくは無い文化財の仁王門が迎えてくれる。塔頭の石垣(寺侍長屋)は城壁を思わせる高さで圧倒する。シャクナゲが軽い石段坂沿いに重要文化財の本堂まで続く。登りきると梢越しに三重塔(承応元年(1652 )が聳えて見える。左手の本堂へ参拝し、シャクナゲ並木を見ながら疎林に守られた三重塔へ向かう。拝見するには周囲の木々が少ないほうが良いが風雪、雷雨から塔を守る高木林は避雷針が登場するまで必要であった。早く成長し層塔を越える高さになる杉桧は雷から塔を守ったのである。今も多くの層塔の周りには成長の早い高木が大きく高く育ったのに出合うのである。これも、先人たちの知恵であったと思う。1300年前に国分寺を建設し七重塔を建てるようにとの詔を発し、各国に国分寺が建設された。多くが火災で消滅した記述は多いが、雷が落ちて焼失したとの記述は実に少ない。なかで但馬国分寺では雷で焼失した、との記述にヒントを得た。国分寺が姿を消した理由はたくさんあるだろうが、戦禍で、失火で、落雷で、老朽化もあるだろうか、国分寺遺跡のある市町村に問い合わせ確認しよう。他に、層塔の礎石が確認されている市町村は多いだろう、これも調査出来ればと考えている。

 浄土宗を起こした法然上人の父母が子供誕生を祈念し、本山寺へ参拝祈念して法然が誕生したのだと伝えられている歴史ある古寺である。

岩間山・本山寺シャクナゲ

重要文化財の岩間山・本山寺

1月元旦の牛窓港での(蘇民将来宝札)
日蓮宗・藤田山・成就寺

 層塔の奥に石造品と並び据えられた重要文化財の「宝篋印塔」があるが、三重塔に圧倒され、ここまでと引き返す人は多い。同じ、重要文化財でありながら大きさは圧倒的な魅力が有るのだろう。帰路は拝観を見逃した、法然上人ゆかりの池、御霊屋、などなどを見学し最後に仁王門に納まる仁王像に挨拶してバスの人になる。春秋の花時季には枝垂れサクラの下で秋にはモミジの下で弁当を広げ吉備高原の山並みを堪能すると良い。

 成就寺(じょうじゅじ)は山号を藤田山と呼び、宗派は日蓮宗である。北区建部町富沢682。  開基は天勝勝宝年間と古く、報恩大師(ほうおんだいし)によると言う。備前48ヶ寺の一つでもある。明和3年に焼失したのを40年後の文化3年再建を始め初重が組み上がり、文化5年に上棟を果たす。19世紀初頭を代表する三重塔でもあるらしい。平成26年(2014)に岡山県文化財指定さる。寺域は段丘上の上部にあるのでR484を西進していると建部小学校信号、さらに進むと正面に三重塔が見え、道なりに進むと文化財指定の仁王像が収まる仁王門そばを終点まで行くと駐車場がある。石段を上がり振り返ると建部村を俯瞰する素晴らしい高台に立つ三重塔である。一見質素に見え現代制作かと思いきや220年前に建てられ、今に健在である。建設当時どんな周囲だったのか知りたい気分である。今も周囲に高木が無いことが心配である。Ⓢ  atomu







  


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